防災というと、非常持ち出し袋を用意して安心してしまいがちですが、むしろ家での備えが大切です。
非常持ち出し袋は、避難するときに持っていくもの。
被災したからといって、全員が避難して避難所で生活するわけではないですよね。
家が無事であれば、プライバシーのない避難所よりも、家で生活を送りたいという人の方が多いと思います。
そうなった時のためにも、家での備えが重要になってきます。
何を備蓄すればいいの?
非常食はローリングストック方式で。
家に備蓄する食料は、備蓄用に特別なものを用意したり、分けて保管する必要もありません。
そして全て「非常食」で揃えなくても大丈夫です。
被災時には、普段食べ慣れているものを食べることで気持ちを落ち着ける効果もあるので、普段のストックを少し多めに購入しておき、消費しながら買い足していく方法がオススメです。
ストックしながら回していくので「ローリングストック」とよばれています。
ローリングストック方式だと、ストックしておいた食品が消費期限切れになることも防ぐことができます。
食料の備蓄は何日分必要?
理想は1週間分×人数ですが、そこまでストックしておくのは難しいという人は、最低3日分は用意しておけばなんとかなるだろうと言われています。
被災者の体験談では、災害時にはトイレが辛かったが、空腹はそれほど感じなかったという話が多く聞かれ、1日1~2食で済ませていた人も多いことが理由のようです。
備蓄に適した食品
- レトルト食品
- インスタント食品
- フリーズドライ商品
- 缶詰
- お菓子
- ゼリー飲料・野菜ジュース
【レトルト・インスタント食品】
温めずにそのまま常温で食べられる商品もあるので、非常時には便利だなと思います。
私が普段、備蓄していてオススメしたいのは「レトルトのおかゆ」です。
食欲が落ちたときでも食べやすく、災害時に限らず、子どもや自分が体調を崩したときにも大活躍するので、ストックしておいて損はないと思います。
【お味噌汁・スープ】
災害時には、温かいものを食べることで、ホッと心が安らぎ気持ちが落ち着くといいます。
お湯を注いで飲むことができるレトルトのお味噌汁や、ワカメスープ、カップスープも用意しておくとよいですね。
【缶詰】
調理の必要がなく、開封したらそのまま食べられるもの、缶切りがなくても開けられるタイプのものをストックしておきましょう。
個人的には、フルーツの缶詰がオススメ。
災害時は生鮮食品は手に入りにくくなりますし、フルーツの缶詰に入っているシロップは糖分補給に◎
【お菓子】
お菓子は消費期限も比較的長いので、備蓄にはピッタリ。
常温で保存でき、開けるだけで手軽に食べられる点も◎
エネルギーになるのはもちろん、お菓子は心の栄養ともいいますよね。
おせんべい、チョコレート、飴、クッキー、カステラ、ドライフルーツ、果汁グミなど、お子さんがいらっしゃる家庭では特に、重宝すると思います。
【ゼリー飲料】
災害時は食欲がなくなる人が多いですが、食べないと元気が出ないし、動けません。
エネルギー補給タイプのゼリー飲料は、喉ごしが良く手軽にエネルギー補給もできるのでオススメです。
水は1日2~3リットル必要
水は、1人につき1日2~3リットル×最低3日分必要です。
水も食品同様、普段から少し多めに買い置きをし、使用しながら買い足す「ローリングストック」がオススメです。
生活用水は、普段から浴槽に水を張ったままにしておくとよいと言われていますが、乳幼児がいる家庭の場合は、子どもが誤って浴槽に転落、溺れてしまう危険があるのでやめましょう。
また、お風呂の残り湯は、1日でかなり多くの細菌が繁殖します。
手を洗ったり体を拭いたり、食器を洗うといった生活用水にはあまり適していないので、水を使わずに清潔を保てるウェットシートを多めに準備しておいたほうが衛生的には良いと思います。
ペットボトルの水を冷凍庫に入れておこう
ペットボトルの水を、冷凍庫の奥で凍らせておくと便利です。
停電時には、保冷剤の役目を果たしてくれるので、冷蔵庫の開け閉めを極力控えれば、4時間程度なら中のものは溶けません。
それだけでなく、夏場は首筋やワキに当てて熱中症対策になりますし、溶けたら飲むこともできます。
ただ、水は凍ると膨張しペットボトルが破裂する可能性があるので、満タンの状態で凍らせてはいけません。
節水のために準備しておいた方がよいもの
災害時は水が貴重になります。
- ウェットシートを使用する
- 食器にはラップを敷いて使う
- フライパンや鍋には、アルミホイルを敷いて調理する
- 使い捨て手袋を使用して手を洗う回数を減らす
- ポリ袋を使って調理をする
- プラスチック製のスプーンやフォーク、紙皿、紙コップなどを使用する
ウェットシート、ラップ、アルミホイル、使い捨て手袋、ポリ袋、プラスチック製のスプーンやフォーク、紙皿、紙コップなどは多めにストックしておきましょう。
非常用トイレ
私は、トイレを流す用の水として、空になった2リットルのペットボトルに水を入れたものを6本ほど、常に洗面台の下などにストックしていて、実際に停電した時に役立ちました。
ただ、大地震後にトイレを流すのは危険なんです。
特に集合住宅にお住まいの方は、状況がハッキリするまでは、いくら生活用水が確保できていたとしても、トイレは流してはいけません。
なぜなら、配管が壊れていた場合、トイレを流したことで、汚水が溢れるなど他の部屋に被害が及ぶからです。
大地震後は、トイレを流すことができないので、市販されている非常用トイレなどを準備しておきましょう。
また、新聞紙と45リットルのゴミ袋2枚で、便器にかぶせて用を足せる応急簡易トイレを作ることもできるので、多めにストックしておきましょう。
カセットコンロがあれば ポリ袋調理も可能に
カセットコンロとガスボンベ、そして水があればお湯を沸かすことができるので温かいものが食べられますし、ポリ袋調理も可能になります。
ポリ袋調理とは、鍋にお湯を沸かし、ポリ袋に入れた食材を茹でる調理法のことです。
1つのお鍋に、複数のポリ袋を入れて茹でれば、1度でごはんとおかずが同時に調理可能で、お鍋のお湯も繰り返し使えるため水の節約にもなります。
できあがったら、ポリ袋ごと器に入れて結び目をカットし、ポリ袋を器にかぶせるようにして食べればお皿も汚さずにすみます。
ポリ袋調理の基本「お米の炊き方」
- 1人分、米0.5合(米はとがなくてOK)と、水120㎖をポリ袋に入れて30分浸水させる。
- しっかりと空気を抜いて密閉状態にしてから、お湯が入らないようにポリ袋の上部を結ぶ。
- 鍋に6分目くらいの水を入れて沸騰させたら、ポリ袋を入れ、弱火で30分茹でればできあがり。
固くなってしまった「おにぎり」も、ポリ袋に入れて5分ほど茹でれば、ふっくら元通りになりますよ♪
就寝中の地震に備える
寝ている時、無防備な状態での地震も想定し、準備をしておきましょう。
深夜の地震は、視界も悪く、慌てて行動をすると思わぬ怪我につながってしまいます。
寝室の家具の配置を点検しよう
寝室には背の高い家具は置かない
寝室に背の高い家具は置かないのがベスト!とはいっても、住宅事情もありますし、持っている家具を買い替えるのも難しいですから、置くしかないという場合もありますよね。
そういうときは、万が一家具が倒れてきても、寝ているベッドや布団に直撃しないように配置しましょう。
背の高い家具は、もうひと工夫。
例えば本棚なら、上の方に重いものや割れやすいものを置くと、倒れやすくなるうえに、吹っ飛んできたもので怪我をしやすくなるので、重い本やトロフィー、割れやすいものなどは下の段に置くのがポイント!
また、タンスなら、寝る時に一番下の引き出しを手前に引いて、開けっぱなしにしておくと、その引き出しがストッパーになり倒れにくくなります。
家具の上には、ものを置かないことも大切です。
窓際では寝ない
窓ガラスが割れて怪我をする場合もあるので、窓から離れた位置で寝るようにしましょう。
カーテンをきちんと閉めることによって、窓ガラスが割れたときに飛び散るのを防ぐことができます。
また、できればエアコンや照明の下で寝るのも避けたいところです。
ドア付近にはものを置かない
ドア付近のものが散乱したり、出口がふさがれてしまっては大変ですから、ドア(出入口)付近にはものを置かず、スッキリ片付けておきましょう。
センサーライトを設置しておこう
大地震が起きれば、必ずといっていいほど停電が起こります。
特に、暗闇を怖がる小さなお子さんがいる家庭では、コンセント差し込み型のセンサーライトを設置しておくと安心です。
停電や地震の揺れで自動点灯するものや、コンセントから外すと懐中電灯として使えるタイプが便利です。
危ない階段には蓄光剤で暗闇対策するのもオススメです。
枕元にこれだけは用意しておこう
【枕元防災セット】
- 履き物・・・足の保護
- 懐中電灯(LEDライト)・・・停電時の視界確保
- 携帯電話
- めがね(目が悪い人)
- 軍手・・・手の保護
- ホイッスル・・・救助を呼ぶため
- 持病の薬
- 身分証明書・財布
大地震の時には床には、ありとあらゆるものが散乱します。
停電で電気が付かず視界が悪い中、ものが散乱した室内を移動する際に、足の裏を怪我してしまう可能性が高いのでスニーカーなど履き物は必須です。
実際、割れたガラスや、木片で足の裏をざっくりと裂いてしまったという人も多く、避難するのにも、その後の生活にも支障が出てしまいます。
どうしても靴を近くに置いて寝るのに抵抗があるという人は、スリッパや上履き、サンダルでもいいので足を守るための履き物は必ず近くに用意してくださいね。
地震の揺れで吹っ飛んでバラバラになってしまうかもしれないので、袋やバッグにまとめて入れる方が良いと思います。
袋やバッグ自体が飛ばないように、ベッドの柵にカラビナで固定したりするなど工夫してみてくださいね。
眠る時の服装にも注意!
寝ている時に大地震が起きたら、着替えている暇はありません。
寝る時は窮屈なので下着をつけない女性も多いですが、もちろん下着をつける暇もありません。
今は、カップ付きのキャミソールやタンクトップもありますよね。
意外と着心地が良く、楽ちんなので夜は利用してみてはいかがでしょうか。
報道はあまりされませんが、避難先では、残念ながら必ずといっていいほど性犯罪が起こります。
寝る時は、露出度が低く、動きやすい洋服(長袖Tシャツ+スエットパンツなど)で寝るのがオススメです。
家具の転倒に備える
家具の固定のポイント
家具の固定は、もう既にしているご家庭も多いかと思いますが、固定していたにもかかわらず家具が転倒したり、吹っ飛んだりしてしまうことがあります。
転倒防止グッズにも特性や、取り付ける際のポイントがあり、間違った設置方法では効果が半減してしまいます。
【突っ張りポール】
家具と天井を突っ張って固定するグッズ。
簡単に取り付けられるのがメリットですが、天井や家具が丈夫でないと効果がありません。
家具なら両端の固い部分、天井も空洞部分ではなく、梁の位置に設置するのがベスト。
もしくは、家具の上と、天井部分に丈夫な板をかませて、突っ張りポールで固定してもよい。
突っ張りポールの代わりに、家具と天井の間に、衣類など軽いものを入れた段ボールを隙間なく置く方法もあります。
この場合、点で支えるポールよりも、面で支えることができるため安定感がありますが、隙間があると効果がないので、雑誌や新聞紙などで調整してください。
【L字型金具】
ねじで金具を取り付けて、家具を壁に固定するグッズ。
固定する効果は高いが、固定する場所や壁の材質によっては、揺れでねじが抜け落ちてしまうケースもあり、また、家具や壁に穴が開いてしまうのがデメリット。
賃貸物件では使用が難しい。
【転倒防止用ベルト・チェーン・ワイヤー】
家具と壁面をつないで固定するグッズ。
テレビや冷蔵庫など、重いものも固定できるが、L字金具同様、壁の材質によっては、揺れで抜けてしまうケースもあり、壁に穴が開いてしまうのがデメリット。
賃貸物件では使用が難しい。
【耐震ゲルマット】
粘着性のある薄いマットで、テレビやパソコンなどの底面に貼ることで固定できる
【転倒防止プレート】
タンスや食器棚などの下に敷くことで倒れにくくするグッズ。
家具に合わせて長さをカットできるタイプもある。
見映えを気にしなければ段ボールでも代用可。
【ダンパー機能つきの制震グッズ】
ダンパー機能とは、ばねの力を使用して衝撃や振動を緩和する機能のこと。
揺れの衝撃を緩やかにし、家具転倒を防止してくれるグッズです。
【開閉防止ストッパー】
食器棚などの扉が開いて、中の食器類が飛び出したり落下したりするのを防ぐグッズ。
揺れを感じると自動的にロックされるタイプもある。
【滑り止めシート】
食器類や花瓶、テレビやパソコンの下に敷くことで、落下や転倒、滑り出しを防ぐグッズ。
組み合わせて使用すると効果アップ!
様々な転倒防止グッズがありますが、2つ以上組み合わせて使用することでより効果がアップします。
例えば、大型のタンスなら、上部はL字型金具で固定し、下に転倒防止プレートを敷くといった具合です。
低い家具、小型家電も固定を。
低い家具だからと安心はできません。
低い家具は、倒れないかわりにスライドして横に大きく動き、打撲などの怪我をすることもありますし、電子レンジや薄型テレビは、固定していない場合、吹っ飛んでくる可能性があります。
近くにいなくても怪我をする可能性があるので、家電類もグッズを利用して固定しておきましょう。
危険がいっぱい!キッチンの防災
火や刃物、割れやすい食器に家電類と、地震が起きると一番危険なのがキッチンです。
大きく重い冷蔵庫は、倒れたら大惨事ですし、在宅避難の場合、冷蔵庫が倒れてしまうと冷蔵庫の中にある食料や飲料を取るのが難しくなってしまいます。
壁と天面に粘着マットを貼って転倒を防止できるグッズは、装着も簡単なのでこれだけは最低でもしておきましょう。
赤ちゃんのいたずら防止用の冷蔵庫ドアストッパーで、冷蔵庫の扉が開かないようにしておくと安心です。
電子レンジや炊飯器など小型家電は耐震ゲルマットで固定。
キッチンの引き出しは、赤ちゃんの指はさみ防止用のストッパーを取り付けることで、地震の揺れで一斉に飛び出すのを防げます。
倒れたり、飛び出したり、割れたりと、家具の中でも危険な食器棚は、強力なL字型金具で固定するだけではなく、扉が開かないよう強力なマジックテープのストッパーを付け、食器の下には滑り止めシート、ガラス扉にはガラス飛散防止シートを貼るなど、何重にも対策が必要です。
近所に知り合いを作っておこう
特に一人暮らしの女性の場合、被災後に知り合いがいない状態では心細く不安ですよね。
しかし、都会のアパートやマンションでは、誰が隣に住んでいるのかもわからない・・・ということも多いですね。
近所づきあいがないという点では気楽ではありますが、もしもの時に頼りになるのが遠くに暮らす家族よりも、近所の人たちです。
顔見知りがいるというだけで心強いものです。
ただ、中には、人見知りで近所づきあいは苦手だという人もいるでしょう。
隣近所の人や、地元の商店の人とは積極的に挨拶をして、せめて顔見知り程度にはなっておくと、災害時に情報交換ができたり、助け合いの精神が生まれると思います。
まとめ
もしも被災した場合、ライフラインの復旧には、時間がかかります。
電気が約1週間、上下水道が約3週間、ガスは約5週間ほどかかるといわれています。
プライバシーのない避難所で生活するよりも、建物が無事なら、自宅で避難生活を送りたいと考えている人も多いと思います。
そのためにも、備蓄や、家の中の点検は欠かせません。
我が家も防災への備えはまだまだ万全ではないので、少しずつ実行していこうと思っています。